2024.6.26
Fabulous Sounds
Limited Model “18k Gold Chain Bracelet with Lapis lazuli”
なぜ今ジュエリーなのか?
「鍛造のジュエリーや、作家性の強いいわゆる一点ものに近いジュエリーはいくつか持っていて、以前から身につけていたから、一人の作家の人間性が映し出されたアート的魅力を持つものの価値みたいなものは自分なりには理解していたし、それを自分のファッションに落とし込む感覚もなんとなくは掴んでいたように思います。そういった歪がゆえの美しさの反対にあるような、均整のとれた完璧な美しさや計算し尽くされた輝きなんかを持ったファインジュエリーは、まだまだ手が出せないでいました」
その価値観は年齢とともに変容していき、カルティエやそのほかジュエリーにも魅力を感じるように。その後決定的な出来事があり、今回のジュエリーの企画が持ち上がった。
「実は知人から少し前にロレックスを買わせてもらったんです。男性って持っていると箔がつくものっていくつかあると思ってて、その一つがロレックスなんじゃないかな?一度は持っていてもいいかなと思ってずっと探していたんです。あとは自分の父がロレックスが好きだったんですけど、そんな父が夜寝る前にロレックスをよく振っていたのを思い出して。その血を受け継いだのかも知れないけれど、自分に合うロレックスはどれだろうと、現行品もビンテージも含めとにかく見て回っていた時期がありました。それで、本当にちょっと前にたまたま探していたサイズのロレックスを入手したよと知人から連絡があって、見に行って買わせてもらったんです。手にして分かったことは、ロレックス自体は男の人のステータスみたいなところがある時計だけど、たしかにそういった側面がある一方で、ちゃんとファッションに落とせるもんなんだなということ。ステータスだけでの判断基準ではなく、ちゃんとお洒落できるじゃんって。その発見があったから、ロレックス以外にも自分がこれまで手を出してこなかった他のものに対しても視野を広げてもいんじゃないかと思わせてくれるきっかけになったんです」
そこから、“Riverで提案するべきファインジュエリーとは?”という課題に向き合うことに。
「そういった意味では、興味があるけれど手を出していなかったのがファインジュエリー。たとえば、作家性の強いジュエリーの持つ唯一無二の強さというか、他を寄せ付けない存在感みたいなものの良さを理解している一方で、完璧に細部まで作り上げられて鋳造のジュエリーの魅力、偶発的ではないもののもつ美しさとか、きめ細かい輝きなんかが今になって気になって。年齢とともにファインジュエリーを身につける抵抗もなくなってきたのもあったかもしれないです。視野を広げてなにかジュエリーをRiverで提案できたらと考えていました。お店を開けた当初からもちろんずっと考えていたことではあるんだけど、何をすべきかぱっと思い浮かばなかったことも事実。たとえばエルメスやカルティエとか、名のついたブランドのビンテージを扱うことも考えたけれど、それはあえてRiverでやる必要性が感じられなくて、他の名店がしっかり提案してくれているんだからそこは自分の畑じゃないなと。お店を運営していくうちに、来るべきときがきたらきっと見つかるはずと、ずっと待ちつつ考えていました」
いよいよ機は熟した、Fabulous Sounds吉田さんと作ろう
「昨年末に妻にギフトを探しに中目黒のFabulous Soundsに行ったんです。その時プレゼントしたのが、今回別注させてもらったオーバルチェーンのブレスレットだったんですけど、妻がつけているのを見てたら自分も欲しくなってきて(笑)繊細なチェーンは時計と重ねてもいいし、単体でのいやらしさも全然ない。ファッションに取り入れやすいけれど、ゴールドの輝きは圧倒的な存在感があって今までとは全然違うバランスで楽しめる。たとえば世の中には、H社のシルバーチェーンのブレスレットをつけている男性って本当に多いと思うけれど、見え方として僕にはゴツくて、それこそステータスシンボルとしてのジュエリーのような身につけ方がしっくりこないなと。それとは正反対に、ものとしてのがっつりとした存在感はないけれどささやかな主張がある繊細なジュエリーって素敵だなって思ったんです。一般的な価値観からは差をつけたかったというか、純粋にそのほうが今の自分にとってはいいなって、自分のファッション感だとそういうのがいいなって思ったんです。いずれきっと、シルバージュエリーがほしくなったり、人の手の痕跡が見えるジュエリーがほしくなるときは来ると思うんですけどね」
その後共通の知人を介してFabulous Soundsの吉田さんと会う機会があり、一気に構想が実現するところまで進んでいったのだとか。
「吉田さんがRiverに立ち寄ってくださって買い物してもらうこともあり、交流は以前からあったんですけど、先日たまたまお店が暇なタイミングにコーヒーを買いに出ようと外に出たら、吉田さんと裏道でばったり遭遇したんです。なんか引き寄せますねーってことで、せっかくだからと吉田さんが呼んでいたタクシーをキャンセルしてそのままRiverまで来てくれました。買い物の後、一緒に知人のお店にいったり食事に行ったりしたんですよね。そこからさらに10日後くらいに吉田さんが連絡をくれて、『伊藤さん、ゴールドチェーンのブレスレット欲しがってましたよね?うちのやつでよかったらRiverで展開しますか?』っておっしゃってくださったんですよ。ちょうどその日はたまたま僕は25SSシーズンの展示会を回っていて中目黒にいたので、その足でFabulous Soundsまで行きました。色々見せてもらって、結局当初から考えていたオーバルチェーンのブレスレットがいいななんて思っていたら、いい機会だから別注で作りましょうとご提案いただいて、僕の構想は最高の形で着地することになったんです」
そもそも、Fabulous Soundsのお店としての魅力や吉田さんの魅力はどこにあるのだろうか。
「クリーンで洗練された空間にジュエリーが本当にたくさんあって、テーマパーク的に楽しめるくらいのボリュームがあります。ジュエリーって楽しいんだって思わせてくれるお店がFabulous Sounds。そんなお店のステートメントは調べたらすぐ出てきますが、それをそのまま体現しているのが吉田さんです。Fabulous Soundsをやるためにビンテージジュエリーを買い付けているわけだけれど、新しいものを取り入れる懐の深さがあって、それでいて豊富な経験や知識に裏付けされた価値基準を持っているから絶対的にブレない確固たる自分の軸というのがある人なのかなと思っています。たくさん見て経験して得たものを、自分のクリエイティブに落とし込むバランスがとてもうまい人。たとえば作家さんってもっと内省的にものづくりをする方が多いような気がするけれど、それとは違って吉田さんが作るものはもう少し広い視野で見たものを柔軟に落とし込んでいるゆとりがある。そしてそのアウトプットの説得力は、単に新しいものを作りたい意欲だけではなく、膨大なインプットに支えられた審美眼あってこそのもの。あとは世の中の相場でものを見ない人なんだということに度々驚かされます。自分が感じたものの価値で値段をきめていて、正しいものの価値基準というのを自分の中に置いている。純粋に自分がいいと思ったものにはしっかりと対価を払うし、自分がよくないと思うものは、たとえ世の中で評価されていても信用しない。そんな芯の強さがあるのが吉田さんの、Fabulous Soundsのものの魅力でしょうか」
必然的な美しさに偶発性を加えて
そんなFabulous Soundsと実現した別注アイテム。素材は18K、イエローゴールド。チェーンの細さは3種類で、どのチェーンのモデルもFabulous Soundsが展開しているチェーンの太さでいうと最も細いタイプをチョイスしている。その他、吉田さんのアイディアで丸カンを楕円に変更したり、細かい調整が加えられている。
「別注のポイントとして一番大きいのは、チャーム付きにしたこと。そのチャームの先端にはラピスラズリをつけています。何故チャーム付きになったかというと、かなり個人的趣向ですが、Fabulous Soundsにあったカルティエのビンテージで似ているデザインのものがあって、それがずっと僕が欲しかったから。それをベースにしながらデザインを吉田さんが提案してくれました。チャームがつくことで抜け感やスキが生まれるので、Riverだと男性の方への提案ではあるけれど、チャームがつくことで柔らかさが加わっているから女性でも身につけやすいのではと。あとは別注をやるんだったらRiverらしい色があったほうがいいんじゃないかってことで、吉田さんなりにRiverを解釈してくださった結果、僕が好きな色でありRiverのコンセプトカラーでもあるブルーとかネイビーを取り入れようと。そういうことでチャームの先端にラピスラズリがつきました。ラピスラズリは自然界で最も美しいブルーの宝石と呼ばれる天然石で、魔除け、お守り、飛躍、あるいは持ち主を成功に導くという意味を持ったパワーストーン。今自分はひとりでお店をやってるから、『守って欲しい!』みたいな欲もあって、今の自分にラピスラズリは必要じゃんってことになりました(笑)」
そして完璧な美しさを持つファインジュエリーに天然石が加わることで、新しい魅力が付加されることになった。それをお客様にも体感してもらうために、石の色などのオーダーは受け付けないことにした。
「ラピスラズリはもちろん天然石だから、原石の中でも取るところによって色や模様がまちまちで、石それぞれに個性があります。だからあえて、できるだけ綺麗な石を選ぼうとか、できるだけネイビーのカラートーンを統一して石を仕入れて欲しいとか、そういうことではなく、その石それぞれが持つ個の魅力を体感してもらうようにしたかったんです。選ぶ楽しさっていうよりは、自分自身が選ぶんじゃなくて向こう側からやってくるものを受け入れる、その自分とジュエリーとの出会いみたいなものにロマンを感じて欲しいかなって。だからジュエリーのオーダーを受け付ける際に好みの石のオーダーみたいなものは受けないようにします。全てラピスラズリであることはもちろんですが、一つひとつの違い、自分のところにやってくる一つのジュエリーを、自分だけのジュエリーを手にする楽しさを味わって欲しいです」
華奢だからこそ、そこにある美しさを見出す
「ラピスラズリをつけたことでファインジュエリーの画一的な美しさ、完璧さのなかに意図しない偶然性から生まれる美しさが加わったと思っています。チャームがゆれることでゆらぎが生まれるし、スキが生まれる。自分は完璧なものが好きじゃないから、このバランスがしっくりきています。あと、このラピスラズリがついたことでちょっとビンテージっぽさも備わったのかなって。現代のラグジュアリーなゴールドのファインジュエリーの中にインディアンジュエリーみたいな要素もあって、そのバランスって意外とないもの。ビンテージのジュエリーと合わせることもできると思うし、ロレックスみたいな時計にも、その他のファインジュエリーと重ね付けしてもいいかなと思います」
River的夏の提案は相変わらずラフなシャツやTシャツと、デニムにビーサン。そんな手元にジュエリーをプラス。
「ファインジュエリーが際立つのは薄着の時期だとは思ってて、ブレスレットをつけるだけでコーディネートを引き締めてくれる、格を上げてくれる立ち位置でもあると思う。すごいカジュアルなショーツに大きめのシャツを羽織って、袖をまくった時に見えるさりげないゴールドの輝きとか素敵じゃないですか。ワークウェア、ミリタリーウェアから見えたりするのも格好いい。このラピスラズリのブルーが絶対ネイビーにあうし、黒にも合うし。シンプルのコーディネートのときにはゴールドの輝きが生かされて、逆に柄物との合わせや複雑なコーディネートのときには、そっとスタイルを下支えしてくれるのがこの細さゆえのバランスだと思っています。ずっと自分の中で今シーズン持っているのが無国籍・多国籍・ジャンルレスというキーワードで、どんなスタイルにも振れる幅広さ。ゆえに女性がつけても素敵だと思います。スーツにも格好いいと思います、いやらしくならないのがとにかくいいんです。おすすめは3種類の重ね付けですかね」
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Order Event
「Fabulous Sounds」
Limited Model “18k Gold Chain Bracelet with Lapis lazuli”
-Box Chain-
¥85,800(intax)
-Cut Oval Chain-
¥118,800 (intax)
-Flat Chain-
¥174,900(intax)
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24.06.28(Fri) – 07.07(Sun)
Delivery Date : End of July
以下、受注内容になります。
1,店頭受注
6.28(金)-7.7(日) / 納期7月末予定。
River AOYAMAで受注会を行います。通常営業ですがタイミングによっては長い時間お待ちいただく可能性がありますのでお時間に余裕をもってご来店いただくようお願いいたします。お支払いは全額前払いとし、現金または各種クレジットでのお支払いとさせて頂きます。
ブレスレットの基本の長さは内周17cmです。そちら以上に長さを足す場合は+1cmごとにアップチャージがございます。
※1cmごとのアップチャージ金額はモデルによって異なります。
Box Chain→税込3,300円
Cut Oval Chain→税込5,500円
Flat Chain→税込7,700円
2,Online Store受注
7.5(金)-7.7(日) / 納期7月末予定。
7.5(金)の12時から7.7(日)の23時までのあいだ、River AOYAMAのOnline Storeにてオーダーを承ります。こちらに関しましても全額前払いとさせて頂き、各種クレジットカードもしくは銀行振込にてお支払いとさせて頂きます。Online Storeでは各モデル17cmもしくは18cmサイズのみでの受注とさせていただきます。このサイズより長いサイズをご希望の方はご連絡ください。
※オーダー後のキャンセルは出来かねますので予めご了承くださいませ。
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Text : Yukina Moriya(@yukina.moriya)