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2024.12.4

Order Event〈Noriyuki Misawa〉
Limited Model 《無垢》 《Lazy man》

Noriyuki MisawaとRiverのコラボレーションは早くも第三弾に。第一弾の〈Copper〉のクラシックかつ前衛的な靴の表現でファンを魅了し、第二弾の〈Bordeaux〉ではクラシックシューズを作り続けた自らのバックグラウンドを表現するかのような技術を披露した三澤さんのものづくりの現場であるアトリエにお邪魔し、新しく制作した靴について伺いました。

履けない靴を履く

伊藤「これまでのコラボレーションもそうですが、自分が三澤さんのアトリエに伺った際に目にしたモデルの中で気になったもの、履いてみたいと思ったものを、より自分好みにカスタマイズさせていただきRiverの別注作品として受注生産していただくスタイルは今回も変わらずですが、欲張りに2型お願いしてしまいましたね」

三澤「全く違う2足になったと思います。ひとつめが、僕が制作していた〈無垢〉というアートピースから着想したもの。もともとは履けない靴だったのですが、それを履けるように、素材の変更や構成を考えていきました。伊藤さんが見てくださった〈無垢〉作品は2022年に作ったもので、経年によってかなり色が濃くなっていたかと思いますが、色合いもその〈無垢〉らしさを目指しながらも、まだこれから経年させることを想定した染め方に着地しています」

伊藤「アトリエに展示されていた〈無垢〉の圧倒的な存在感に、釘付けになってしまいました。そのとき三澤さんから、『〈無垢〉はあくまでオブジェなので履ける靴ではない』ということを聞いて、たしかに〈無垢〉はシューレースも通っていない、靴のかたちをしていながら靴としては機能しないものなのだなと認識したのですが、その『履けない靴』を履いてみたいと思って。そもそも自分は茶靴が好きなこともあって、最近は別注でお願いした〈Bordeaux〉と〈Copper〉、そのうちでもとにかく〈Bordeaux〉ばかり履いていて。もう一足、新しい茶履があってもいいかなと、勝手ながら自分の欲しいタイミングで別注のご相談をしました」

三澤「〈無垢〉を制作した当時はとにかく技術力を駆使して1つの素材だけで作るアートピースを仕上げてみたかったんです。きっかけは、銀座のとある日本料理店で、どこまでも “素材本来の味”を突き詰めた料理をコースでいただいたこと。ともすると何もしていないようにすら見えてしまうほどに、素材そのままの料理を続けざまに提供されたのですが、その美しさももちろんのこと、美味しさも素晴らしかったんですよね。何も手を加えていないように見せて、実は素材本来の味を引き出す、という究極の作業をされている。それらの料理と職人技に影響を受けて、たったひとつの素材だけで、素材本来の魅力を引き出すようなアートピースを作りたいと思ったんです。できるだけシンプルにしたいという思いから、たとえば実際はステッチを施している部分も、表からは見えないようにデザインをしたり、履き口を美味しそうに見せることができるように普通はしない設計にしたりと細かい部分に技術を集約させていきました」

伊藤「ステッチが隠れていることで靴なのに靴に見えないというか、独特の曲線が強調されたり、柔らかく美味しそうなテクスチャーに感じるのでしょうか。そのフォルムと革の素材感の素晴らしさに魅了されて、靴として履けるなら履いてみたい!と素直に思ってしまいました」

三澤「技術的な要素や意匠が表にでないように、〈無垢〉の制作方法を概ね同じことをしていますが、シューレースが必要になったり、ライニングが必要になったりするわけですよね。それらを省略するわけにもいかないので、それらを限りなくシンプルにまとめています。その上でオックスフォードという形にもポイントがあって。僕自身はオックスフォードモデルの作品を作ることが多いんですが、オックスフォードかダービーか、がいわゆる靴の形ですよね、誰でも知っている靴というモデルがその2つだと個人的には思っています。そのベーシックなモデルを、どこまで面白くできるかということを突き詰めるのも、自分の靴作りの上で大事な考え方です。トゥのラインの引き方ひとつとっても、自分らしいバランスを加えているので、履かれる方はぜひ真上からこの靴の姿を見てみてほしいです。ステッチを表に出していない分、要素として邪魔になるものがないので1本のラインも際立って見えると思います」


伊藤「確かに、上から見た時の表情がいい。三澤さんが美味しそうと表現していたのが実感できるような気がします。それはこの色の付け方にも影響されている気がします」

三澤「色は元となった〈無垢〉に近いイメージを持ちながらも、素材を変更しているので染めについては異なる方法をとっています。アートピースとしての〈無垢〉で使用しているのは通常靴の底材として使う革なんですよね。だから革自体のキメは粗くとても硬くて、厚いんです。それを、加工しやすい厚みになるように包丁でスライスして、最後に手で着色を施しています。なので履くことを想定していない素材で、もし仮に履こうものなら割れてしまうんですよね。なので今回は、この底材のテクスチャーを再現できるように、かつ履くことができるように、ベルギー製の最高級のヌメ革を使用しています。アートピースの〈無垢〉で使っている底材を水につけて抽出したエキスと、コーヒー、そして少しの染料を加えたものを今回の染料として、手作業で僕が着色しています。着色というよりは、絵を描くという表現に近いのですが、一筆ずつ、濃度を変えて塗り重ねていくイメージです」

2022年制作の〈無垢〉に使用した革。通常は靴の底材として使われるためしっかりとした厚みがある。


伊藤「まっさらなヌメではなく、いい意味で程よく汚れているような色の入り方ですよね。これから履いていくごとに濃くなっていく経年も楽しめるだろうから、長く履くことが楽しみになりますね。一方で、雨の日には履かないように、大切に履いていきたいなと思わせる程よい緊張感があるというか」

三澤「文字通り一筆ずつ塗っているのでひとつとして同じ線はないですし、同じ靴は存在しません。上手く描こうとすると失敗するので、適度に自由に、ときに子供の筆のような下手さが残るように、意識をしながら描いています。底材から抽出したエキスとコーヒーの染料は思ったほど色がのらないので、一足だいたい30回くらいは塗り重ねています。なので意外と手がかかっているんですよ。もっと濃くすることはもちろんできるんですが、そこはお客さんがそれぞれにメンテナンスをしていただきながら育てていくのがいいかなと思い、自分が思うベストな着色具合で止めています。日焼けでももちろん濃くなりますし、クリームを塗って手入れをしていくごとにも、色の深さは増していくはずです」

伊藤「馴染ませて、メンテナンスをしていくのが楽しみになる一足ですね。最初にRiverのために作っていただいた〈Copper〉は、見た目のインパクトが強く、初見で『これは格好いい!』と思わせる強さがあったように思いますが、今回の〈無垢〉は一目見た時のインパクトはそこまで強くはないものの、三澤さんから伺うストーリーも相まって、見るたびに、履くたびに、じわじわとその良さが実感できるような靴なのかなという気がしています」

三澤「ちなみにですが、木型は〈Copper〉と一緒なので、〈Copper〉のフィッティングで履いてもらえます。印象の異なる2足を、同じ感覚で履いていただけるのでそこも良いかなと」

 

粋と野暮のあいだにある“怠け者”の靴

伊藤「そしてもう一足が(Lazy man)ですね」

三澤「通称“レイジー・マン“、要するに怠け者のための靴です。クラシックなモデルではあるのですが特に日本人が好むモデルで、シューレースが苦手とか、脱ぎ履きが楽な方がいいとか、そういう面倒くさがりの人に好まれる靴です」

伊藤「僕はまさに怠け者で、だからこそローファーばっかり履いているし、それゆえ〈Bordeaux〉を履き潰してしまうほどなのですが…(笑)〈Bordeaux〉の代わりになるような一足が欲しいと思って、三澤さんのサイトやインスタグラムを拝見していたときにたまたまインスタのストーリーズに流れてきたのがこのモデルでした。普通に格好良くて、ビスポークのために作っているモデルだったそうなのですがRiverのためにお願いさせてもらいました」

三澤「サイド・エラスティック・シューズはブリティッシュでエレガントな靴ではあるのですが、それをあえて少し田舎臭いバランスにしました。伝統的なスタイルなので、アーティスティックに落とし込むということもあまり考えすぎずに、しっかり作り込むこと、そして伊藤さんのお店のお客さまが履くなら?あるいはお店のお洋服と合わせるなら?ということも考えました。こういった伝統的なスタイルのシューズは通常もっと華奢にまとめるものなのですが、縫い目を細かくしすぎないようにしたり、コバの張り出し方を少し大胆にして野暮ったさを残したりしています。そうしないと、ドレスコードがあるようなシーンだけに履く靴になってしまって着用を制限してしまう気がしたんです。ドレッシーだけどあくまで日常で履いてもらえるように考えました」

伊藤「横顔が本当に美しいんですが、どこか隙がある印象なのは〈Bordeaux〉との共通点ですよね」

三澤「そうですね。〈Bordeaux〉のときに施したソールの糸目のデコレーションも、共通要素として今回の〈Lazy man〉に採用しています。ビンテージのローラーを用いた丸みのある仕上げですね。木型も、〈Bordeaux〉と同じ型でスクエアトゥにしているのでフィッティングは概ね同じと思っていただいて大丈夫です」

伊藤「自分が茶靴を求めていたので今回サンプルとして茶色を作ってもらってしまいましたが、革はスワッチの中から選べるんですか?」

三澤「革も色も、スワッチから自由に選んでもらって構いません。今回のサンプルはシャトー・ブリアンという革の種類です。茶色もいいですが、それこそネイビーは間違いなく格好良いですね」

伊藤「グレーのスラックスとかでも良いし、もちろんデニムにも合わせたい。〈無垢〉の方は濃紺のデニムとかは色移りしてしまう可能性があるのでNGだと思うんですが、こっちの〈Lazy man〉は本当に何を合わせても良いし、ドレッシーに振っても、カジュアルダウンさせても成立する。スタイリングを考えすぎなくて気兼ねなく履けるというところも怠け者には嬉しいポイントかもしれないですね」

 

Photo : Ryuhei Komura(@ryuhei.komura)
Text : Yukina Moriya(@yukina.moriya

 

Order Event

「Noriyuki Misawa」

-無垢-

¥264,000 (intax)

 

-Lagy man-

¥264,000 (intax)

お選びいただく革によっては10,000円前後のアップチャージがあります。

 

~アーカイブより~

-Bordeaux-

¥264,000 (intax)

お選びいただく革によっては10,000円前後のアップチャージがあります。

 

-Copper-

¥277,200 (intax)

 

24.12.07(sat) – 12.15(Sun)
Delivery Date : Mid March

 

以下、受注内容になります

12/7(土)-12/15(日)に、三澤則行氏の革靴「無垢」「Lagy man」の受注会をRiver AOYAMAにて行います。モデルは「無垢」「Lagy man」、アーカイブより「Bordeaux」「Copper」の計4種類です。「Lagy man」「Bordeaux」はサイズと三澤氏がお持ちの革からお好きな革を選べるカスタムオーダー、「無垢」「Copper」はサイズ受注となりまして、全モデル、店頭一般発売は行いません。サイズの上限はなくお客様の足長のサイズに合わせて0.5cm刻みでオーダーを承ります。
Online Storeでは12/10(火)12時から12/15(日)の23時までオーダーを承ります。
オーダーいただいた「無垢」「Lagy man」「Bordeaux」「Copper」の受注分の納期は3月中旬頃を予定しております。

 

受注会日程ですが12/7(土)と12/8(日)は三澤氏に12:00-19:00の終日在廊いただき、1組様1時間のアポイント制にて実施します。
12/9(月)、12/13(金)、12/14(土)、12/15(日)は通常営業にて受注を承ります。日程にてスケジュールが合わない方はご連絡をください。7日(土)と8日(日)のご予約方法は、氏名、ご連絡先、ご希望日時(第2希望までの日程)を明記の上、HPのinfoもしくは Instagramのdmよりご連絡をください。受注会のアポイントは先着順となりまして、こちらのBLOGアップ後より受け付けを開始いたします。

7日(土)
①12:00-13:00②13:00-14:00③14:00-15:00④15:00-16:00⑤16:00-17:00⑥17:00-18:00⑦18:00-19:00

8日(日)
①12:00-13:00②13:00-14:00③14:00-15:00④15:00-16:00⑤16:00-17:00⑥17:00-18:00⑦18:00-19:00

 

 

1,店頭受注
12.7(土
)-12.15(日)  /  納期3月中旬予定。

※12.7(土)8(日)三澤氏在廊

River AOYAMAで受注会を行います。7日(土)と8日(日)は1組様1時間の予約制とさせていただきます。他の受注日は通常営業ですがタイミングによっては長い時間お待ちいただく可能性がありますのでお時間に余裕をもってご来店いただくようお願いいたします。お支払いは全額前払い、もしくはデポジットで50%の前払いで、お渡し時に残りのお代金のお支払いとし、現金または各種クレジットでのお支払いとさせて頂きます。

2,Online Store受注
12.10(
)-12.15(日)  /  納期3月中旬予定。

12.10(火)12時から12.15(日)の23時までRiver AOYAMAOnline Shopにてオーダーを承ります。こちらに関しましては全額前払いとさせて頂き、各種クレジットカードもしくは銀行振込にてお支払いとさせて頂きます。

オーダー後のキャンセルは出来かねますので予めご了承くださいませ。