2025.3.4
〈BISOWN〉
Limited Model《Extra Wide Denim》《Check G.I.Over Shirts》
誰が見てもRiverらしいと称されるような〈BISOWN〉との別注デニムの成り立ちについてはこちらから。お店の顔となったデニムが今回は新しい季節に向けて新色が登場。古いデッドストック生地を使ったシャツと合わせて、夏に向けてRiverらしいアイテムが発売となります。今回も〈BISOWN〉デザイナーの中出さんをお迎えして、ざっくばらんに制作過程の裏話をお話ししました。
ソリッドにならないためのブラックデニム
伊藤「前回はありがたいことにほとんど店頭で売り切れてしまって、オンラインにも少量しか載せられず、Riverとしてこのデニムを紹介しきれていない気がしていたので、Rain Blueはまたやりたいなと当初から画策していました。こののっぺりしたブルーの出方はやっぱり他のブランドにはないし、ビンテージを探しても見つからないんですよね。Sunny Blueは秋冬のダークトーンなトップスに薄いブルーを合わせたいというイメージだったので僕の中では秋冬カラー。ということで今シーズンはおやすみです。代わりに春夏の新色としてブラックを作ってもらいました」
中出「前にも話したけれど伊藤くんのスタイリングは、大きめのサイジングのトップスになおかつボトムスも大きめシルエットっていうのが特徴だなって思っていたけれど、そのバランスで成立するシルエットのデニムというのはやっぱり他にはない特徴かなと思いますね」

伊藤「僕はとにかくこの《Extra Wide Denim》を色違いで交互に履いて1週間過ごすくらい自分のスタイルにドンズバで、僕には欠かせないアイテムになりました。おかげさまでパリ出張にRain Blueを履いて行かせていただきました!パリの道は犬の糞が落ちてたり、今回のパリ出張では雨の日がほとんどで裾がびしょびしょになったり、ちょっと汚してしまったんですが…(笑)」

中出「一般的にはおそらくブラックデニムって秋冬のイメージがあるから、夏にブラックデニムってどうなんだろうと正直思ったんだけど、ブラックデニムに真っ白の靴を合わせたいっていう伊藤くんの提案が素直にすごくお洒落だなあって思って、それはじゃあぜひやろうということになりましたね。実は私自身もBISOWNでちょうどブラックデニムをやろうかなって思っていたので、もともと黒のデニムは探していたんです。なのでいい生地を提案できたと思います」
伊藤「まさに天邪鬼カラー。Rain Blueと合わせてもう一色作るなら、ノンウォッシュのインディゴっていう選択肢もあったんですけど、この《Extra Wide Denim》のシルエットバランスのブラックデニムってかつて見たことない気がして、黒がいいんじゃないかなと。ブラックデニムって1990年代から2000年代くらいのストリートカルチャーの人たちが履いていた感じですよね、デニムにVansを合わせてるような。なおかつそのときのスタイルって緯糸が白のデニムを腰履きで合わせてるイメージがあったんです。だから逆に《Extra Wide Denim》のこのシルエットバランスで緯糸も黒のしっかりした黒のデニムをやったら、きっとあのストリートの人たちの雰囲気とはまた違う、大人らしいきれいな印象になる気がしたんですよね。今の自分達の気分とか年齢でも履けるような、前衛的で少しエレガントなデニムになるのではと、中出さんに相談してみました。その時の返答で、『ブラックデニムなんだったら、真っ黒だよね?』って言われたんですよね。僕的にはそれがまさにそのイメージだったので嬉しかったです」
中出「もともとデニムの生地を探していた時から、インディゴの色落ちが綺麗なのはもちろんのこと、ブラックでも綺麗な色であり、かつその色落ちの具合もいいものをと思って、フェードの風合いの検証とかもしながら探していたんです。元々ブラックデニムは緯糸も黒の、のっぺりしたものが好きで、以前にもデニムを作る時に同じく緯糸も黒の糸を使った素材を使っていました。今回の生地の特徴としては、洗った際にトーンが少し落ちる感じはあるけれど結構しっかり黒が残るんです。少し浅いブラックデニムの気分も最近はあったのですが、この深くてしっかりした色の出方が個人的には今はいいかなと納得しています。その意思疎通が伊藤くんと取れていたことはとてもよかったですね」

伊藤「お客さんには、最初のきれいな佇まいのブラックデニムも見てもらいたいし、なおかつそこから色が落ちていってどんどんやわらかくなるのも体感してほしくて、このブラックデニムは完全ノンウォッシュの状態で発売しようと思います。名前はRich Black。僕が3回くらい洗ったときはまだしっかり生地の硬さが残っているなっていう印象で、5〜6回洗ってようやく少し柔らかくなってきましたね」

中出「インディゴの色落ちとまた違った風合いになるよね。あと意外と最初はノリが残っているのもあってちょっと白く見えるのかも。ちょっとノリが落ちたくらいの時が一番黒く見える気がします。そこからは洗えば洗うほどもちろん色は落ちるけれど、よくあるブラックデニムのような色落ちにはならない気がしています。育てて楽しんでいただけたら嬉しいです」
伊藤「Cristaseyaの黒の和紙ニットとか、あるいはカラフルなニットとかチェックシャツを合わせてこのブラックデニムで締めて、白い革靴で軽さを出す、みたいなスタイリングを春夏で提案したかったんですよね。敢えて夏の全身オールブラックにトライしたい。ちなみにこれも14ozです。先の話ですがこのデニムに合わせたい白い革靴の企画が進んでいます。」

中出「これに潔く白いTシャツとか、古着のTシャツでも可愛いですよね。女の子は特に、夏にブラックドレスを着たりする人も多いし、夏だからこそオールブラックをやりたい人って絶対いると思う」
伊藤「絶対いいですよね。僕に取っては、この歳になったから許されるスタイルかなって。若い時にオールブラックのスタイリングってしてなかったわけじゃないけどどこか頑張っている感じが出てしまって、若いなーって印象が拭えなかったんですよね。あとブラックデニムというアイテム自体、自分にとってはちょっと抵抗があるアイテムでもあったりして。スタイルのいい人が履くものというんでしょうか、細身のシルエットでテーラードジャケット合わせるとか綺麗なコートを羽織るとか。黒いスラックスも同じような理由でしばらく遠のいていたアイテムの一つでした。自分が持つイメージに、自分自身のスタイルがうまくマッチしなかったんだと思います。でもRiverを始めてから黒いスラックスを履きたい気分になって、それを機にいろんなブランドで積極的に仕入れをしてみて気づいたのは、ブラックのボトムスも太ければいけるということ(笑)。黒の細身はスタイリッシュになりすぎちゃって抜け感がないし隙のないスタイルになるけれど、シルエットが太いだけで黒のソリッドなイメージの中に程よく抜けが出るなって気がついて、これなら自分でも履けるぞ!っていう意識が持てたんです。その上でデニムだったら、この《Extra Wide Denim》しかないなと」

Riverの定番、夏のシャツ
中出「「もう一つ、デニムと合わせてご要望いただいたのが、某メゾンの昔のデッドストック生地を使ったシャツでしたね。素材、色はBISOWNのインラインで展開しているシャツと同じなのですが、完全に形が新しいRiverだけのシャツになりました」」
伊藤「U.S.NAVYのシャンブレーシャツがデザインベースになっているものが展示会に並んでいて、自分が好きなアイテムのオマージュだったからそれだけで気になって試着したんですよ。それが例の如く自分に似合わず(笑)なんでなんでしょうねって中出さんと話していたら、もともと縦長のシルエットバランスのシャツだけれどそれが原因なんじゃないかという話になって、じゃあ自分に似合う形に変えてください!っていう無茶なお願いをして始まりました。最初はカマ底を深くしたいというのが具体的にオーダーしたことでしたよね」

中出「もともとU.S.NAVYのシャツのパターンが縦長であるのに加えて、この海島綿をつかったシアサッカーみたいな生地が持つ独特の落ち感も相まってすごくストンと落ちるシルエットになっているんですよね。だから決してサイズ感は小さくないけれど身体のラインを出しやすいし、縦のシルエットが強調されて普段の伊藤くんのバランスにならないのかなって」
伊藤「U.S.NAVYのシャツが好きなんですけど、元々そっちのシャツ自体も僕は似合わないんですよ(笑)縦長だしアームホールも細いし。だから好きで持っていたけれど手放してしまったりしてたから、今の自分がU.S.NAVYのシャツを着るとしたらという方向で考えてみても、このシャツはいいんじゃないかなと思ってどうにかして着てみたかったんです」
中出「この生地を見つけた時に、生地自体がものすごく可愛いからどう料理して洋服に仕立てるべきなのかすごく悩んだ挙句、U.S.NAVYのシャツをベースにしたら面白いかなと着地したものでした。普通のシャツのデザインとか、ドレスとかに仕立ててもいいけれど、ちゃんとしたものができるというか、普通になるというか(笑)この生地の良さがきっと活かしきれないなと思って結構悩んだアイテムでもあったのでそこに目をつけてもらえて嬉しいです」

伊藤「この色の配色とか、海島綿100%のちょっとしゃりっとした素材感とかがすごいいですよね。展示会に来た日も確かすごい暑い日だったんですけど、そういう日にぜひ着たくなるなって思ったことを覚えています。だけどこのままのシルエットだと自分としては肌離れが悪いというか、もう少し空気を含むようなシルエットにしたいなという気持ちがあったんですよね。なのでもっとアームホールを太くしたいなということを伝えて、そこから全体のバランスをとってもらいましたよね」
中出「そうですね。それと合わせてバストも広げたいという話にもなったけれど、元々が結構大きなサイズであることを伊藤くんにも伝えて、実際の寸法も共有しました。なので結果的には、バストを広げるというよりはカマ底を深くした分のバランスをとり、そしてバックヨークにギャザーを寄せて縦に落ちる生地に対して膨らみがあるシルエットが出やすいように、生地分量を出してシルエットを調整するようにしました。その分身頃もふわっと肌離れがよくなっているように感じると思いますよ」



伊藤「最初に作ってもらったサンプルではまだ襟もそのままで作ってもらったんですけど、自分のスタイルとしてやっぱり襟はなくしたほうがいいかもなってことで襟も取ってデザインしてもらうことにして、さらに当初よりもギャザーの分量も増やしてもらってこの最終形が完成しました。さらに夏に着ることを想定して、インラインでは展開のない6サイズを特別に作ってもらいました。5と6の2サイズ展開ですが、夏に着ることを想定すると僕としてはサイズ6を推しています。U.S.NAVYのシャツのシルエットとかディティールの特徴は残しながらも全然違うシャツになりました。デニムはもちろん、ショーツ合わせもして軽やかにビーサン履いて、このシャツも自分の夏の定番になる予感がしています」


BISOWN
“Extra Wide Denim” Size XS / S
Rich Black
¥41,800 intax
XS→ウエスト91,渡幅36,裾幅31,股下80cm
S→ウエスト98,渡幅38,裾幅33,股下83cm
※ノンウォッシュのため、洗うと縮みが生じます。予めご了承ください。
Rain Blue
¥47,300 intax
XS→ウエスト88,渡幅35.5,裾幅30,股下77cm
S→ウエスト94,渡幅97,裾幅32.5,股下79cm
“Check G.I.Over Shirts”Size 5 / 6
Red Check / Yellow Check
¥41,800 intax
5→肩幅54,身幅67,袖丈64,着丈81cm
6→肩幅55,身幅68,袖丈65,着丈82cm
※Online Store販売は、3/8土〜3/10月の店頭販売終了後、残在庫を3/11(火)12:00よりOnline Storeにて発売開始とさせていただきます。